こだわりアカデミー

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本対談記事は、アットホーム(株)が全国の加盟不動産会社に向け発行している機関紙「at home time」に毎号掲載の同名コーナーの中から抜粋して公開しています。宇宙科学から遺伝子学、生物学、哲学、心理学、歴史学、文学、果ては環境問題 etc.まで、さまざまな学術分野の第一人者が語る最先端トピックや研究裏話あれこれ・・・。お忙しい毎日とは思いますが、たまにはお仕事・勉学を離れ、この「こだわりアカデミー」にお立ち寄り下さい。インタビュアーはアットホーム社長・松村文衞。1990年から毎月1回のペースでインタビューを続けています。
聞き手:アットホーム株式会社 代表取締役 松村文衞
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経済統合を目前に控えたヨーロッパは かつてハプスブルク帝国に似ていますね。

結婚がつくった巨大帝国−ハプスブルク朝

比較文化研究者 東洋大学文学部教授

江村 洋 氏

えむら ひろし

江村 洋

1941年(昭和16年)東京生まれ。1970年、東京大学大学院比較文学比較博士課程修了。現在、東洋大学文学部教授。ヨーロッパ文化史、特にハプスブルク家に関する研究を続けている。
主な著書に『ハプスブルク家』(講談社現代新書)、『中世最後の騎士−−皇帝マクシミリアン一世伝』(中央公論社)、訳書に『ハプスブルク家−−ヨーロッパ一王朝の歴史』『女帝マリア・テレジア』(ともに谷沢書房)などがある。

1991年9月号掲載


宗教にとらわれないものの考え方に注目が...

──ところで、宗教と言えば、今、ヨーロッパが一つにとか、世界が一つに、と言われている中で、民族や言語の壁は越えられても、最終的に障害になるのは、私は宗教ではないかと思うんですが・・・。

江村 なるほど。そうかもしれませんね。

──ですから、これからの時代は宗教を持たないというか、宗教にとらわれない人たちが大事な役割を果たすのかな、とも思うんです。

江村 確かに、今のヨーロッパの精神というものは、これまでの世界の指導的な立場という意識から変わりつつありますね。無宗教とか、神なんてものにとらわれないものの考え方が見直されるというか、注目される、そんな流れが出てきています。日本なども、東洋のエキゾチックなイメージと同時に、あまり宗教観を持たない国、そして世界の経済大国でもあるわけで、ヨーロッパ人の中にも日本のいろいろなものを見聞きし研究する風潮が出てきています。

──日本を研究することが、経済統合を間近に控えたヨーロッパにとって、参考になる、あるいは何かを示唆するものになるんでしょうか。いずれにせよ、ヨーロッパ統合でヨーロッパ自身、そして世界がどう変わるか、興味深いですね。

楽しいお話をありがとうございました。


近況報告

著書 『ハプスブルク家の女たち』(1993年6月、講談社現代新書) 『マリア・テレジアとその時代』(1992年、東京書籍) 『カール五世 中世ヨーロッパ最後の栄光』(同) 『フランツ・ヨーゼフ ハプスブルク最後の皇帝』(1994年、東京書籍) 訳書 『ハプスブルク夜話 古き良きウィーン』(1992年、河出書房新社) 『ハプスブルク家史話』(1998年東洋書林) 『ハプスブルク家の愛の物語』(1999年、東洋書林) ※江村 洋先生は、2005年11月3日にご永眠されました。生前のご厚意に感謝するとともに、慎んでご冥福をお祈り申し上げます(編集部)

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