こだわりアカデミー
花火の光、色、音を 科学的に解析。 技術の発展や安全性向上に貢献
世界で唯一。大学に花火研究室が!
足利工業大学大学院煙火学専修教授
丁 大玉 氏
Dayu Ding

1958年生まれ、中国出身。91年南京理工大学研究科博士課程エネルギー物質専修修了、工学博士。同大学の講師を経て95年法政大学工学部の外国人客員研究員に就任。97年日本工機(株)研究開発部に入社。2005年足利工業大学助教授、07年准教授、11年より教授(現職)に就任。
2017年8月号掲載
丁 花火はもともと7世紀頃に中国で発明された黒色火薬がベースとなっているのですが、当時はオレンジ1色だった花火に色をつける技術は、その黒色火薬がシルクロードを通じて伝わったヨーロッパで、炎をより鮮やかにするために新しい化学物質が用いられるようになったのが始まりとされています。
──それが日本に伝わった?
丁 はい。日本では、花火そのものは鉄砲伝来とともに伝わったといわれていますが、明治時代にマッチに使う塩素酸カリウムなどさまざまな化学物質が輸入されるようになり、花火師たちがヨーロッパをまねて、多様な色をつくり始めたようです。マグネシウムやアルミニウムなどの金属も用いられるようになりました。
──最近では本当にいろいろな色や形の花火を目にするようになりましたが、今ではどんな色でも出せるのですか?
丁 花火の色は、赤・黄・青・緑をベースに、花火師が経験をもとに試作を繰り返しながらつくり出してきたのですが、最近ではピンクなどの中間色もできるようになりました。しかし、例えば緑のように出しやすい色がある一方で、濃い青のように難しい色もあり、どんな色でも簡単につくれるというわけではありません。時間や手間もそれだけかかります。そこで花火大学院では、「ある色をつくるのに、どの物質をどのくらいの量混ぜればいいか」という実験を行い、その分析結果を元に配合比を計算できるプログラムを作成しています。現在では、ある程度狙った色を出せる段階まで完成しています。
──それはすごいですね。花火師さんの効率も拡大に上りますし、見る側としてもより彩りのきれいな花火に期待ができそうです。
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