こだわりアカデミー
人間の心の闇が生む「妖怪」。 そこに日本人の民俗性を見ることができます。
妖怪から見る日本人の心
文化人類学者・民俗学者 国際日本文化研究センター教授
小松 和彦 氏
こまつ かずひこ

こまつ かずひこ 1947年、東京都生れ。70年、埼玉大学教養学部教養学科卒業、76年、東京都立大学大学院社会研究科博士課程修了。信州大学助教授、大阪大学教授を経て、97年より現職。主な著書に『憑霊信仰論』(94年、講談社)、『異人論』(95年、筑摩書房)、『悪霊論』(97年、同)、『神々の精神史』(同年、講談社)、『京都魔界案内』(2002年、光文社)、『日本魔界案内』(同)、『神なき時代の民俗学』(同年、せりか書房)、『異界と日本人絵物語の想像力』(03年、角川選書)、編著に『日本妖怪大全』(同年、小学館)など多数。
2004年1月号掲載
1万6,000件の妖怪が集結!データベースを大公開
—— 昨年、各地に散らばっている妖怪や怪異を集めたデータベースをインターネット上で公開されましたが、大変な人気のようですね。私も拝見させていただきましたが、ものすごいボリュームで驚きました。
小松 約1万6,000件収録しています。ジャンル別に多いものから順番にいうと、キツネ、天狗、タヌキ、河童、大蛇、蛇、鬼…と続きますが、キツネだけでも1,546件、天狗が831件、タヌキが575件もあります。
![]() |
『怪異・妖怪伝承データベース』。約1万6,000件の妖怪が収録されており、名前や地域から検索できる。 小松和彦氏監修(国際日本文化研究センターホームページ内) |
本年度末には、さらに2000件追加する予定です。
──それだけ集めるのはご苦労されたのでは?
小松 伝承を中心に拾い集めたのですが、地域によって偏りがでないように気を遣いました。どの地域にどんな妖怪がどれだけいるか、数量から何が見えてくるかというのは民俗性を探る上で重要な要素ですから。
──妖怪一つひとつについての説明が簡潔にまとまっていて、何時間でも飽きずに見ていられるくらいでした(笑)。ただ、欲をいえば、それぞれの妖怪の姿形が分る絵画があるともっと面白いなあと…。
小松 私もそう思っていて、実はすでに準備を進めているところです。今は視覚がものすごく求められる時代ですからね。絵巻物などの絵画をデータベースに組み込んでいって、妖怪の持つあの雰囲気をより伝えられるものにしていきたいと思います。
多くの人に見てもらって、妖怪の面白さを再発見してもらえるとうれしいです。
──完成が待ち遠しいです。
本日は楽しいお話をありがとうございました。
![]() |
『異界と日本人 絵物語の想像力』(角川選書) |
サイト内検索