こだわりアカデミー

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本対談記事は、アットホーム(株)が全国の加盟不動産会社に向け発行している機関紙「at home time」に毎号掲載の同名コーナーの中から抜粋して公開しています。宇宙科学から遺伝子学、生物学、哲学、心理学、歴史学、文学、果ては環境問題 etc.まで、さまざまな学術分野の第一人者が語る最先端トピックや研究裏話あれこれ・・・。お忙しい毎日とは思いますが、たまにはお仕事・勉学を離れ、この「こだわりアカデミー」にお立ち寄り下さい。インタビュアーはアットホーム社長・松村文衞。1990年から毎月1回のペースでインタビューを続けています。
聞き手:アットホーム株式会社 代表取締役 松村文衞
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遺伝子にはスイッチ機能があり、ONにもOFFにもなる。 心と遺伝子は密接につながっているんです。

「笑い」が病を治す?! 「心」と遺伝子の不思議な関係

筑波大学名誉教授

村上 和雄 氏

むらかみ かずお

村上 和雄

1936年奈良県生れ。63年京都大学大学院博士課程修了。米国オレゴン医科大学研究員、米国バンダービルト大学医学部助教授を経て、78年筑波大学応用生物化学系教授、99年より筑波大学名誉教授、(財)国際科学振興財団バイオ研究所所長を務めている。パリのパスツール研究所、ハーバード大学に先んじた「ヒト・レニン」遺伝子の解読や、イネゲノムの解読などの功績がある。著書に『人は何のために「祈る」のか』(祥伝社)、『遺伝子オンで生きる―こころの持ち方であなたのDNAは変わる!』、『生命の暗号―あなたの遺伝子が目覚めるとき』、『サムシング・グレート―大自然の見えざる力』(いずれもサンマーク出版)、『生命のバカ力―人の遺伝子は97%眠っている』(講談社)など多数。

2008年11月号掲載


 


村上 そうなんです。


話は少しそれますが、03年にヒトゲノムはすべて解読されました。とはいえ、先程も申し上げた通り、ヒトの遺伝子の働きが確実に判明しているのは2%程度、言い換えると、残り98%は眠っている状態なのです。その眠っている遺伝子をさまざまな刺激で目覚めさせることに、私は特に関心を持っています。 


その意味で先程の実験結果は、眠っている良い遺伝子を「笑い」によってON状態にすることで、インシュリン注射や食事制限に頼らずとも、血糖値を下げることができる、という証明になったのです。


──そういえば、生き甲斐を持てたことで末期ガン患者の余命が延びたという話を聞いたことがあります。これは逆に、ガンの遺伝子の一部をOFFにしたということでしょうか?


村上 その通りです。

 「心」と「遺伝子」は、非常に密接につながっており、精神状態や意識の作用によって、遺伝子のスイッチをON/OFFにすることが可能なのです。


──なるほど。では、さらにこの研究を重ねていけば、特定の筋肉や骨を活性化させるために、どの遺伝子をどうスイッチしていけばいいのかが分っていくのでしょうね。今後が楽しみです。

笑いと遺伝子に関する論文が認められ博士の学位を授与された「心と遺伝子研究会」林隆志研究員(中央)との一枚〈写真提供:村上和雄氏〉

笑いと遺伝子に関する論文が認められ博士の学位を授与された「心と遺伝子研究会」林隆志研究員(中央)との一枚〈写真提供:村上和雄氏〉

 

「笑うネズミ」がいるって!?


──ところで、その他に今、先生が興味を持たれているテーマはありますか?


村上 あります。ズバリ「笑うネズミ」です(笑)。


04年の秋に、ダライ・ラマのもとで行なわれた仏教徒の科学者の会合で、ダライ・ラマや参加していた俳優のリチャード・ギア氏と一緒に酒を飲んでいて、「どうもネズミは笑うらしい」という話が始まったんです。


──え、本当に笑うのですか?


近著紹介
『遺伝子オンで生きる』(サンマーク出版)
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