こだわりアカデミー
国立大に「忍者学」が!! 忍者の実態や歴史を探り、 優れた知恵を現代に生かす!
本物の忍者は黒装束ではなかった!
三重大学人文学部教授
山田 雄司 氏
やまだ ゆうじ
1967年静岡県生まれ。京都大学文学部卒業、筑波大学大学院博士課程歴史・人類学研究科史学専攻(日本文化研究学際カリキュラム)修了。日本学術振興会特別研究員。1999年三重大学人文学部講師に就任、2011年より現職の三重大学人文学部教授に就任。著書に『怨霊・怪異・伊勢神宮』(思文閣出版)、『忍者文芸研究読本』(編著・笠間書院)、伊賀忍者研究会編『忍者の教科書 新萬川集海1・2』(監修、笠間書院)など。
2015年10月号掲載
山田 体育学や生物資源学、医学など、さまざまな分野の先生に協力してもらっています。例えば、護身法にある「印を結ぶ」、「九字を切る」などの動作をすると脳波はどう変化するかを調べるといった研究もその一つでして、こうした動作には、気持ちを落ち着かせたり緊張しにくくさせるといった効能があるのではないかと考えているのです。また、忍者がトレーニングとして行った「ナンバ走り」(右手と右脚、左手と左脚を同時に出す走り方)を調べて、長距離・短距離走で役立てられないかとか、忍者の携帯用の保存食「餓渇丸」「水渇丸」の成分を分析して、現代で生かせないか、といったことも試みています。
(写真左)両刃がのこぎりになっている刃物「錣(しころ)」。正体がばれないように、一般的なものと同様の道具を使う場合が多い。(写真右)まきびし。逃げる途中にばら撒くことで追手に怪我を負わせたり、追手の速度を落とさせる効果がある。いずれも伊賀流忍者博物館所蔵〈写真提供:山田雄司氏〉 |
海外でも人気の「ninja」。忍者文化普及にも尽力
──忍者は研究対象としてもいろいろな要素があって、とても面白いテーマですね。今後はどのような展開を考えていらっしゃるのでしょうか?
山田 日本はもとより、海外でも、研究で分かってきた正しい忍者像を普及していきたいですね。実は昨年はイギリス・スペイン、この7月にもフランスで忍者に関する講演をしてきました。9月末にはブルガリア、クロアチア、スロベニア、ハンガリーを訪問する予定です。
──海外での人気ぶりが伺えますね。海外では忍者はどのように捉えられているのでしょうか?
『忍者の教科書 新萬川集海』(笠間書院) |
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