こだわりアカデミー

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本対談記事は、アットホーム(株)が全国の加盟不動産会社に向け発行している機関紙「at home time」に毎号掲載の同名コーナーの中から抜粋して公開しています。宇宙科学から遺伝子学、生物学、哲学、心理学、歴史学、文学、果ては環境問題 etc.まで、さまざまな学術分野の第一人者が語る最先端トピックや研究裏話あれこれ・・・。お忙しい毎日とは思いますが、たまにはお仕事・勉学を離れ、この「こだわりアカデミー」にお立ち寄り下さい。インタビュアーはアットホーム社長・松村文衞。1990年から毎月1回のペースでインタビューを続けています。
聞き手:アットホーム株式会社 代表取締役 松村文衞
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後を絶たない「毒キノコ」中毒。 しかし、その成分は、医薬品としての活用が 期待されています。

解明が進むキノコの成分。毒キノコも薬に?!

奥沢眼科医院医師

奥沢 康正 氏

おくざわ やすまさ

奥沢 康正

おくざわ やすまさ 1940年、京都府生れ。65年、大阪医科大学卒業後、京都府立医科大学眼科助手、京都市立病院眼科勤務医、大阪医科大学眼科助手を経て、72年、奥沢眼科医院(京都市西京区)開業。日本医史学会常任理事などを務める。医療活動の傍ら、医学童話の執筆や、全国のキノコの探索活動を行なう。現在、日本菌学会、関西菌類談話会等に所属、日本冬虫夏草の会理事も務め、キノコ関係の学会発表に意欲を燃やす。著書に医学童話『ねこになったマーくん』(桐原書店)、『ぎもん・しつもん目の辞典』全2巻(東山書房)、『ドクター・ヒゲのおはなし広場』シリーズ全7巻(桐原書店)、『きのこ童話集』(日本きのこ協会)、共著『きのこの語源・方言事典』(山と渓谷社)、『毒きのこ今昔』(思文閣出版)など多数。

2006年9月号掲載


生半可な知識は危険

──もし、毒キノコにあたった場合の治療法とは?

奥沢 まずは、無理にでも吐き出すこと。そして、水分を補給し、利尿や排便を促し毒を出すことです。医者に何を食べたのか、詳しく話すことも大切ですね。

(左)「ベニテングタケ」は、胃腸系では腹痛、嘔吐、下痢、中枢神経系ではめまい、錯乱、幻覚などの症状が現れる。
(左)「ベニテングタケ」は、胃腸系では腹痛、嘔吐、下痢、中枢神経系ではめまい、錯乱、幻覚などの症状が現れる。
(右)「ニガクリタケ」は、腹痛、嘔吐などが起こり、ひどい場合は痙攣やショックなどを経て、死亡することもある
〈写真撮影:佐野修治氏〉

──中毒にならないためにも、特定に不安があるときは、食べないことが一番−!

奥沢 その通りです。生半可な知識をもとに、食用キノコと判断してはいけません。

私も野山に行き、実際にキノコを探して調べながら、ようやく見分けられるようになったのですから。

──国内のキノコの種類は、どの位あるのですか?

奥沢 全体で約3000種、そのうち毒キノコは、約200種類といわれています。

──そんなにですか−! 似たタイプもあるでしょうし、名前を覚えるだけでも大変そうです。

でも、きっと先生は楽しみながら研究されているのでしょうね。

奥沢 ええ楽しいですよ。山に入って探したり、調べることに喜びを感じます。

やはり自然に親しんで楽しみながらキノコに触れていると、幼い頃の昆虫少年のような心になるんですよ。

「シャグマアミガサダケ」は、生で食べると、肝機能障害、呼吸麻痺が起こり、死に至る猛毒キノコ。
「シャグマアミガサダケ」は、生で食べると、肝機能障害、呼吸麻痺が起こり、死に至る猛毒キノコ。
しかし、香りや歯ごたえが良く、北欧では高級食材として扱われている。
15分以上2回にわたり湯がき、毒性を抜いて調理する。
しかし、蒸発したものを吸い込んだだけでも死亡するため、風通しの良いところで行なう
〈写真撮影:佐野修治氏〉


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