こだわりアカデミー

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本対談記事は、アットホーム(株)が全国の加盟不動産会社に向け発行している機関紙「at home time」に毎号掲載の同名コーナーの中から抜粋して公開しています。宇宙科学から遺伝子学、生物学、哲学、心理学、歴史学、文学、果ては環境問題 etc.まで、さまざまな学術分野の第一人者が語る最先端トピックや研究裏話あれこれ・・・。お忙しい毎日とは思いますが、たまにはお仕事・勉学を離れ、この「こだわりアカデミー」にお立ち寄り下さい。インタビュアーはアットホーム社長・松村文衞。1990年から毎月1回のペースでインタビューを続けています。
聞き手:アットホーム株式会社 代表取締役 松村文衞
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1/fゆらぎは謎だらけですが 非常に大きな可能性をもっています。

F分の1ゆらぎの謎にせまる

東京工業大学名誉教授

武者 利光 氏

むしゃ としみつ

武者 利光

1931年東京都生れ。54年東京大学理学部物理学科卒業後、同年、日本電電公社電気通信研究所研究員、64年マサチューセッツ工科大学研究員、65年スウェーデン王立工科大学研究員、66年RCA東京研究所研究員に。67年東京工業大学助教授、教授を経て名誉教授に就任。1/fゆらぎの草分け的存在で、77年には第1回「1/fゆらぎに関する国際会議」を日本で開催し、以降2年ごとに世界各地で行なっている。また、94年には(株)脳機能研究所、(株)ゆらぎ研究所を設立し社長を兼任。著書に『ゆらぎの発想〜1/fゆらぎの謎に迫る』(94年、日本放送出版協会)、共著に『ゆらぎの科学』(91年、森北出版)など。

1998年11月号掲載


1/fゆらぎは生体に快感を与える

—— この1/fゆらぎが発生する原因は何でしょうか。

武者 残念ですが、まだ発生メカニズムは、はっきりしていません。

しかし、1/fゆらぎは、自然界に非常に普遍的に見られる現象で、ものの集団の動き方の根本法則のようなものらしい、ということまでは分かっています。

そのほか、1/fゆらぎが生体のリズムと同じだということも分かってきました。初めてこのことを発見したのは人間の心拍のリズムです。他に、目玉の動き方や脳波のα波の周波数ゆらぎもそうです。

少し難しい話になりますが、生体のニューロン(神経細胞)は生体信号として電気パルス(電気信号)を発射しており、ある細胞の発射間隔を調べたら、その間隔が1/fゆらぎをしていたんです。そのことから、生体のリズムは基本的には1/fゆらぎをしているといっても良いでしょう。そして、この1/fゆらぎは、快適性と関係があることが判明しています。

—— 具体的にどういうことでしょうか。

武者 生体に、心地よさなど快適な感覚を与えてくれるんです。人間を心地よくしてくれる刺激には、1/fゆらぎをしているものが多いのです。

その典型的なものが音楽です。音楽の特徴は音響振動数のゆらぎ方にありますが、ほとんどすべての音楽は振動数のゆらぎが生体リズムのゆらぎと同じになるようにつくられているのです。

—— それは人間だけでなく、他の動物などにも同じ効果がありますか。

武者 もちろん動物にも効果があります。

犬、馬、牛、鶏、どんな動物でも生体であれば、1/fゆらぎが心地よくしてくれます。家畜に音楽などを聴かせるといいというのをよく聞くでしょう。それは、音楽から1/fゆらぎを受けますと、リラックスして卵をたくさん生んだりするからなんです。

—— ちゃんとした根拠があったんですね。

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