こだわりアカデミー

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本対談記事は、アットホーム(株)が全国の加盟不動産会社に向け発行している機関紙「at home time」に毎号掲載の同名コーナーの中から抜粋して公開しています。宇宙科学から遺伝子学、生物学、哲学、心理学、歴史学、文学、果ては環境問題 etc.まで、さまざまな学術分野の第一人者が語る最先端トピックや研究裏話あれこれ・・・。お忙しい毎日とは思いますが、たまにはお仕事・勉学を離れ、この「こだわりアカデミー」にお立ち寄り下さい。インタビュアーはアットホーム社長・松村文衞。1990年から毎月1回のペースでインタビューを続けています。
聞き手:アットホーム株式会社 代表取締役 松村文衞
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家相について調べてみると、いつの時代も 人々の平安を願う気持ちがひしひしと伝わってきます。

『家相の民俗学』を上梓。 「君が代」は「まじないうた」だった?

民俗学者 お茶の水女子大学生活科学部助教授

宮内 貴久 氏

みやうち たかひさ

宮内 貴久

みやうち たかひさ 1966年、岩手県生れ。89年、筑波大学第一学群人文学類卒業、97年、同大大学院博士課程歴史・人類学研究科文化人類学専攻単位取得退学。文学博士。同年、日本学術振興会特別研究員、2000年、聖徳大学人文学部日本文化学科専任講師に就任し、04年より現職。人間がいかに環境を認識し、生活の場である住居を造り上げてきたかを主要な研究テーマとし、全国各地で民俗調査と民家調査を実施。風水や民家・民具、文字文化などについて解明を進めている。共著に『都市と境界の民俗』、著書に『家相の民俗学』(ともに吉川弘文館)など。

2007年1月号掲載


民俗学として家相を調べる

──先生の『家相の民俗学』というご著書を拝見しました。なんでも、家相について民俗学的にアプローチした初めてのものだと伺っておりますが。

宮内 はい。これまで家相は俗信・迷信として捉えられており、学術的な研究の対象ではありませんでした。明治期に近代建築学が移入され、迷信撲滅運動の対象として研究されることはあったようですが、その歴史や実態に関してはほとんど把握されていません。

しかし家相を信じている人の存在や、現実に住宅建築に影響を与えている実情を鑑みても、その心意を考える、つまり家相を信じている民俗社会を研究することも必要ではないかと考えています。

──確かに、信じる信じないは別として、家相という考え方があるということは生活の中に定着していますからね。

山形県川西町の横山家家相図。これほどカラフルなものは珍しいという。家相見は渋谷常蔵。宮内氏は同氏についても研究、渋谷常蔵は、人から頼まれれば地祭り、家相・方位判断などを行ない、人々に「オギュウサマ」と親しまれていたとか<写真提供:宮内貴久氏>
山形県川西町の横山家家相図。これほどカラフルなものは珍しいという。家相見は渋谷常蔵。宮内氏は同氏についても研究、渋谷常蔵は、人から頼まれれば地祭り、家相・方位判断などを行ない、人々に「オギョウサマ」と親しまれていたとか<写真提供:宮内貴久氏>

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